株式投資型クラウドファンディングの新規サービス「エメラダ・エクイティ」が、11月7日にサービスをローンチ(始動)しました。
また今回、担当者の方に直接インタビューする機会を頂きましたのでその内容と合わせ、エメラダ・エクイティのサービスについてご紹介します。
エメラダ・エクイティの会社情報
運営会社はエメラダ株式会社で、ゴールドマン・サックス証券や野村證券出身のメンバーを中心に2016年6月に設立されました。
社名 | エメラダ株式会社(Emerada Co., Ltd.) |
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本社所在地 | 東京都千代田区麹町四丁目8番1号 |
事業内容 | オンラインの次世代資金調達プラットフォーム |
資本金 | 2億1,000万円(資本準備金含む) |
社員数 | 15名 |
代表者 | 澤村帝我 |
主な株主 (従業員以外) |
D4V(日米合弁のベンチャー・キャピタル) 国内金融機関2社 |
株式投資型クラウドファンディングとは
そもそも株式投資型クラウドファンディング(以下、CF)とはどのような投資手法でしょうか。
日本証券業協会は株式投資型CFを次のように定義しています。
株式投資型クラウドファンディングとは、非上場株式の発行により、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を集める仕組みです。
(出展:日本証券業協会「株式投資型クラウドファンディング」)
このため投資家にとっては非上場企業の株式を引き受け、そのエグジット(株式公開(IPO)や企業買収(M&A)など)時の株式売却益償還金からリターンを得ることが主な目的となります。
また投資先の情報(財務状況、事業計画の妥当性や調達資金の使途など)が公開されるため、非公開が原則のソーシャルレンディング投資に比べてより詳細な情報を得て投資判断を行うことのできる投資手法となります。
株式投資型クラウドファンディングの魅力
株式投資型CFの魅力には次のような点が挙げられます。
- エグジット時に投資金額の数倍の利益を得られる可能性があります。
- 応援したい企業を選んで投資し、その成長を一緒に感じることができます。
- 投資家向けの優待企画などを受けられる可能性があります。
株式投資型クラウドファンディングのリスク
一方で次のようなリスクを考慮する必要があります。
- 株式売却益償還金はエグジットするまで得ることができません。
- エグジットまでに長い期間(数年~)が掛かる可能性があります。
- 投資先が倒産した場合は投資した全額が戻らない可能性があります。
- 途中解約、売却を行うことが出来ません(エメラダの場合)。
なお株式投資型CFには投資家のリスクを抑えるために次の規則があります。
- 発行総額が年間1億円未満であること。
- 投資家1人あたりの投資額は1社につき年間50万円以下であること。
エメラダ・エクイティについて
サービスの特徴
エメラダ・エクイティでは普通株式ではなく、非上場企業の新株予約権(将来、約束された価格で株を購入できる権利)が取り扱われます。
これに対して同じく株式投資型CFサービスを行うFUNDINNOでは普通株式を対象としており、次のような違いがあります。
非上場企業の普通株式 | 非上場企業の新株予約権 | |
配当金 | あり(無配の可能性もあり) | なし |
議決権 | あり | なし |
企業の投資家管理 | 負担大 (※有望なスタートアップは使わない可能性が高い) |
負担小 (※有望なスタートアップに使われる可能性が高い) |
換金機会 | IPOやM&Aによるエグジット時 |
一見、普通株式にメリットがあるようにも見えますが、議決権が付く場合、上場タイミングや条件に意見する株主が増え、話がまとまりにくくなるリスクも考えられるとのことです。
株式公開と売却イメージ
非上場企業が株式公開を行う際、その初値は公開価格を大きく上回って値を付ける事が多いため、その株式の事前の保有者は大きな利益を手にすることができます。
このため上場前に公開価格と同じ値段で新たに株式の保有者を募る公募の抽選には多くの投資家の申込が殺到し、近年では1年に1回の当選も難しい状況となってきています。
これに対してエメラダ・エクイティで投資した場合は事前の新株予約権の行使により確実に、また公募価格よりも割安の金額(投資済みの金額)でIPO株を入手することにより、さらに大きな利益を得るチャンスが与えられます。
ただしこの方法でIPO株を入手した場合、目論見書に株主として氏名などが記載されてしまう可能性もあるため(持ち分が著しく低い場合などはこの限りではありません)、これを承知した上で投資を行う必要があります。
なおIPOではなくM&Aでエグジットした場合は現金でリターンされることになります。
投資先のリスクコントロール方法
エメラダ・エクイティでは前述の大手証券会社で数多くのベンチャー企業、大手企業のIPO、公募増資などの資金調達やM&A案件を手掛けたメンバーにより投資先が選別されます。
また「すでにエンジェル投資家や他のベンチャーキャピタル(数社提携済)が1社以上投資実行済みであること」を最低基準とすることによりリスクの高過ぎる投資先を出来る限り排除します。
さらに投資実行からエグジットまでの間、無償で継続的に投資先企業の財務分析、資金調達コンサルティング、IPOやM&Aを希望する場合のサポートなどを行い、利益とリスクの制御を行うとのことです。
エメラダ自身のリスクを考慮する
エメラダ・エクイティ自身がベンチャー企業であるため、投資家はその安定性についても推察して投資判断を行う必要があります。
また現在、株式投資型CF以外にオンライン・レンディングも検討しているとのことで、今後はその両輪で安定性を確保するモデルを描いているものと思われます。
その他、投資の際に気になるQ&A
- Q:投資家に掛かる手数料は?
- A:初期の案件では無い(エメラダへの投資資金の振込手数料は除く)。その後は、案件発掘・審査費用等を対象として投資家の手数料が生じる可能性がある。
- Q:最低投資金額は?
- A:投資先によって変わる予定だが基本的には10万円以上を予定。
- Q:エグジット時の利益は総合課税?分離課税?
- A:IPOの場合は通常の株式と同じ扱い。M&Aの場合は現金のため分離課税。税務専門家への相談が必要。
- Q:エンジェル税制(※)の対象となるか?
- A:新株予約権は対象とならないが、法改正を働きかける予定。
※ベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して所得税減税を行う制度のこと - Q:IPO株を入手した後はどのように売却すれば良いか?
- A:指定の証券口座に登録して貰うので、その後は自身で売却することになる。
- Q:その際にNISA口座に登録することは可能か?
- A:NISA口座の上限の範囲内であれば可能。
- Q:複数の投資先をラップするような商品は検討しないのか?
- A:検討はしているが現時点では未定。
エメラダという社名に込められた想い
エメラダという社名は「未上場株式市場の不透明性をクリアにするエメラルドグリーン」をイメージしたところから命名されたとのことです。
今回ご紹介したサービス内容やこの想いに賛同したり興味を惹かれた方は、エメラダ・エクイティに口座を開設してみては如何でしょうか。
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