ある程度ソーシャルレンディング投資を行ってきた方でも「J.LENDINGなんて知らない」「名前は聞いたことあるけど・・・」という方も多いのではないでしょうか。
なにげに3年以上前から存在するサービスなのですが、案件募集ペースが遅く(現在までに7件だけ!)、最低投資金額が50万円と一般投資家にはハードルが高く、宣伝・広告も積極的に行ってきていなかったため知らなくても仕方ないことだと思います。
ただ今回、J.LENDINGが今までの運営方針を変えて積極的に案件募集を拡大する予定!と伺い、早速セミナーに参加して色々と質問してきましたので、その一部をご紹介したいと思います。
J.LENDINGとは簡単に
J.LENDINGは、JASDAQ上場企業「JALCOホールディングス株式会社」の100%子会社で、不動産業や貸金業を生業とする株式会社ジャルコが運営するソーシャルレンディングサービスです。
また株式会社ジャルコは60年以上前に設立されており、資本金3億5,000万円(親会社のJALCOホールディングス株式会社は長期安定資産180億、総資産220億、自己資本87億)と、他のソーシャルレンディング運営会社に比べて強固な基盤を持っていることが伺えます。
- 100%親会社はJASDAQ上場企業
- 設立60年以上の老舗企業が運営
- 資本金は3億5,000万円(親会社は長期安定資産180億、総資産220億、自己資本87億)
セミナーの流れ
セミナーには代表取締役社長の田邊順一氏、営業部統括のI氏、同じく営業部のS氏の3名が出席し、主に田邊社長自身が進行役を務めて進められました。
1.J.LENDINGの目指すもの
社長の経歴やJALCOの状況など
- 1990年野村証券入社。最初は店頭でOutside(ブローカレッジ:株式等の有価証券取引の仲介)をしていた。
- 次に事業法人部でInside(アンダーライティング:株式等の引受・売出し業務)の仕事をしており、その頃に「ほぼ失敗しない商品」を見てきて、(自分でも)作れるとも考えるようになった。
- 2009年にJALCOホールディングスの取締役に就任したが、その頃は電子部品事業中心で赤字の貧乏会社だったが、不動産業、貸金業中心に事業転換を行ってきて現在に至る。
- ちなみにJALCOは2012年以降、それまで赤字会社だったことから高かった調達コストが大幅に下がり、最近では1%程度で融資を受けることができる(金融機関からの信頼が向上している)。
J.LENDINGについて
- 現状、J.LENDINGで儲けようとは考えておらず利回り4%の案件の場合、貸付先には5%程度の金利で貸し付けているなど利幅は最小限に留めている。
- JALCOホールディングスとしては資産100億円以上の方を主要顧客としており、J.LENDINGにはそういった顧客の案件を回すようにしている。
- 自分(田邊氏)自身、JALCOの大株主のためJ.LENDINGでデフォルトが発生すると株価下落によるダメージを一番に受ける立場のため、この点については信頼して欲しい。
- また第三者による内部体制管理強化委員会、取締役会でのチェックを必要とするなど、出来る限り安全な案件を回すようにしている。
- また人様に資金を貸し付ける場合、担保も大切だがそれ以上に貸し付ける相手が大丈夫か、素性が明確かを重視しており、特に人様から預かったお金を貸し付けるJ.LENDINGでは最重要視している。
- なお今までの3年半で7案件しか募集してこなかったが、今年9月から2020年3月までに掛けて数十億の募集を目指している。
- J.LENDINGでは儲けを考えておらず利幅もほとんど取っていない。
- J.LENDINGの投資家向けには資産100億円以上の主要顧客を回している上、事前に第三者および取締会によるチェックを通している。
- 今年の9月から本格的に募集を開始予定。
2.LENDINGの概要
こちらはセミナー資料を入手しましたので、ダウンロードできるようにしておきました。
PDF J.LENDIGセミナー資料(2019年7月23日)
3.匿名解除の内容について
匿名化の内容については現在整理中で今後発表予定とのことでしたが、現段階でセミナーで説明された検討内容では、かなり踏み込んだ内容まで公開が検討されていました。
4.質疑応答
以下、私自身が田邊社長に直接質問しご回答頂いた内容についてご紹介します。
J.LENDINGが方針を転換した理由と現状について
今回、ソーシャルレンディング事業に積極的に取り組むように方針を転換したきっかけは何かあったのでしょうか?
金融庁による匿名化の解除がきっかけです。JALCOには優良な顧客が多く、安心できる投資先であることを投資家の方々に伝えやすくなったと考えています。
方針転換の理由は分かりました。ただJ.LENDINGは最低投資金額が50万円と高いため、新しい投資家を呼び込みにくいのではないでしょうか。
高い理由の一つに第二種金融商品取引業協会からの指導があります。投資家からの未投資の資金(分配金含む)を預かることが出来ないため、小口で毎月分配して振込手数料を支払ったら赤字になってしまいます。このため、今後の案件では、期日一括払いなども検討しています。
今後のJALCOにおけるJ.LENDING
直近のJALCOの売上は11億5,800万円、またJ.LENDINGではLF6号の1億2,100万円の融資実績があることから、JALCO全体におけるソーシャルレンディング事業の比率は10%程度と考えてよろしいでしょうか?
ソーシャルレンディング事業の売上はグロス計上ではなく、ネット計上なので、ソーシャルレンディング事業の売上は100万円程度で全事業の中で大きな比率は占めていません。
JALCOの第8期有価証券報告書に既存の貸付債権をソーシャルレンディングに振り替えて行くとあるため、今後はその比率を上げていくのでしょうか?
現在は比率を3割程度に上げることを考えています。
ちなみにその振り替える対象の貸付債権ではデフォルトはどの程度発生していたのでしょうか?
1件も発生していません。
同報告書に貸倒実績率に応じて貸倒引当金を設定しているとありますが、本当に1件も発生していなかったのでしょうか?
貸倒引当金は過去に直接融資した企業から詐欺行為にあい、2億円程度のデフォルトがありました。ただ、ソーシャルレンディングの案件に振り替える予定の優良顧客では貸倒は発生していません。
最後に
今回のセミナーに参加するまでJ.LENDINGは敷居の高いサービスだと感じていましたが、田邊社長からの説明と、今後の匿名化解除で融資先の素性が確認できるようになることを考えると、投資先の1つに加えても良いと考え始めています。
ここ最近ソーシャルレンディング業界が少しごたついていますので、老舗の上場企業が本格参入してくれて投資先の選択肢が増えてくれるのは業界としても非常にありがたいことですしね。
なお最低投資金額が高い件については担当の方に引き下げて頂くよう強くアピールしていますので、もしかすると9月の本格募集開始時には少し下げてくれるのでは・・・と期待しています。
みなさんもご興味ありましたら、9月の前に口座を開設しておいてみては如何でしょうか。
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