一昨日、LCレンディングの親会社LCホールディングスから「継続企業の前提に関する事項の注記についてのお知らせ」(関連記事)がありましたが、同じく日にオルタナバンクの親会社であるSAMURAI & J PARTNERSからもドキッとするIR情報が公開されていたのに気付きました。
※SAMURAIを運営するSAMURAI証券はSAMURAI & J PARTNERSの連結子会社です。
う”ぉ”ぉ”ぉ”ぉ”ぉ”ーーーい!昨日の今日でそれは無いだろ!!
と、叫びそうになりながらも心を落ち着け、恐る恐るファイルを開いてみたところ・・・
当社の連結子会社であるSAMURAI ASSET FINANCE株式会社において、同社の融資先(以下、「当該融資先」といいます。)に対する債権につき、取立不能又は取立遅延のおそれが生じましたので、下記のとおりお知らせいたします。
なお、本融資は当社グループによる自己資金によるもので、クラウドファンディングを利用した資金ではございません。
いや、IR情報の冒頭でわざわざ「クラウドファンディングを利用した資金ではございません。」と注釈しているのは分かってますよね、見出しが紛らわしいの。だったら見出しで分かるようにして下さいよ・・・。
とは言え内容によってはSAMURAI & J PARTNERSへの業績が大きく、SAMURAI証券への影響にも不安がありますので、その内容を最後まで確認してみました。
IRの内容について
融資概要
融資元 | SAMURAI ASSET FINANCE株式会社 |
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融資回数 | 52回(2018年6月から2019年7月まで) |
連帯保証 | あり(融資先の取締役兼オーナーK氏) |
融資限度額 | 3億円(「極度方式基本契約書」による) |
約1年のうちに52回ということは毎月4~5回融資を行っていたことになりますが、企業間融資では一般的なことなのでしょうか?
返済状況の経緯
- 2019年7月以前は一度も返済遅延なし。
- 7月10日の返済が無く督促、状況確認を行ったところK氏より「取引先から入金遅れがあり16 日には返済可能」と説明あり。
- 7月16日に返済が無く状況確認を行ったところ関係者より「融資先社内で横領等の不正が発生している」ことが判明。
- K氏および再建を考えている関係者から8月9日までに全額返済の意思確認あり。
- SAMURAIグループは18日に並行して東京地裁に債権仮差押命令申立てし26日に仮差押決定を取得。
- 結果的に13日までに一部入金しか無く、取立不能又は取立遅延のおそれが生じることとなった。
- 現在は債権回収可能性が残されており今後、貸倒引当金を計上すべきとの判断に至った場合は金額と業績影響を速やかに通知する。
7月10日のK氏の説明、16日の関係者からの返済意思の確認辺りで時間稼ぎをされていた可能性もありますが・・・うまく回収できることを期待します。
残債
下記の内訳を合計すると残債は約2億5,900万円となります。
返済期日 | 返済元本+利息 |
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2019年7月10日 | 約3,600万円 |
2019年7月18日 | 約6,400万円 |
2019年7月23日 | 約8,900万円 |
2019年8月9日 | 約7,000万円 |
またこの金額は、SAMURAI & J PARTNERSの連結純資産のうち11.5%とそれなりの割合となっています。
株価の状況
このIRを受けてSAMURAI & J PARTNERSの株価も前日終値150円に対して1日で138円(-8.00%)まで下落していました。
もとから株価が低いのもあるかもしれませんが、LCレンディングの場合は1,383円からストップ安値の1,083円(-21.69%)を付けているため、投資家はまだ冷静な目線でIRを捉えているのかもしれませんね(Yahoo!の掲示板のコメントも比較的落ち着いたものでした)。
まとめ
連結純資産のうち11.5%が焦げ付いている状況は私としてはそれなりにインパクトがあると感じますが、株価の状況を見るとそこまで心配する程度のものではないのかもしれません。
また今回の焦げ付きは、SAMURAI & J PARTNERSとしての債権回収能力を図るのに一つの試金石となるかもしれないため、今後も様子を確認していこうと思います(オルタナバンクで募集されるファンドには不動産担保が付いていたりするので、また少し様子が違うかもしれませんが)。
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