
不動産投資型クラウドファンディングはの似たような物件も多く、分散投資として違うタイプの物件にも投資してみたい。
今回ご紹介するTECROWD(テクラウド)はもしかするとそんな方に興味を持って頂けるかもしれません。
TECROWDは2021年1月にサービス開始したばかりの不動産投資型クラウドファンディングサービスです。
ただし他のサービスと異なるのは、その投資先がモンゴルなど新興国の不動産である点。

違うタイプの不動産と言っても海外は為替リスクがね。まして新興国って大丈夫なの?
など気になる方も多いと思います。
そこで本記事では不動産型CFが法律で許可された初期から投資中の僕が、リスク面などについて徹底調査してみました!
TECROWDの基本情報
まずTECROWDの基本情報をご紹介します。
運営会社 | TECRA株式会社 |
---|---|
スタート | 2021年11月 |
想定利回り | 6.5%程度※1号ファンドより |
運用期間 | 24ヵ月程度※1号ファンドより |
必要資金 | 10万円~ |

まだ1号ファンドまでですが、不動産型CFサービスでも利回りは高め、運用期間は若干長めとなっています。
TECROWDでの不動産投資
TECROWDでは他のサービスと同様、クラウドファンディングの仕組みで多くの投資家が少額を出し合って不動産投資を行います。

TECROWDでの投資について

多くの仲間が同じ不動産にリスクも背負って投資を行ってくれるのは心強いですよね。
また最初にご紹介した通りTECROWDでは新興国の不動産に投資が出来ますが、次のような特徴があります。
- 日本の不動産と比べて高いリターンが期待できる
- 投資対象は日本の建設会社TECRAが工程・品質の管理・監督に責任を持つ不動産のみ
またTECRA社のサイトを確認すると次のような新興国の不動産が対象になりそうです。
- モンゴル(1号案件で取扱済)
- ベトナム
- ウクライナ
- カザフスタン
- キルギス
最近は特にアジア各国の経済成長は著しいようですし、新興国とは言え投資妙味はありそうですね。
TECROWDのメリット
次に、TECROWDで投資を行う際のメリットをご紹介していきます。
僕が感じているTECROWDのメリットは主に4つ。
- リスクヘッジの安心感
- 為替ヘッジもあり
- 高い利回り(分配率)
- 運用中の金額の上下が無い
リスクヘッジの安心感
不動産型CFが一般的にそうであるように、TECROWDでも投資の際に運営会社側も一緒に出資を行います。

TECROWDの優先/劣後出資の仕組み
またこの時、TECROWD側は投資家より不利な立場で出資(劣後出資)を行います。
「もし投資案件で思うような結果が出なかったら?」
普通は案件に参加している投資家全員が平等にダメージを受けそうですよね。

ところがこのスキームでは、先にTECROWD側が出資の範囲で全ダメージを引き受けます。
一般の投資家はTECROWD側で全ダメージを受けきれなかった場合に限り元本にダメージを受けます。
逆に言えばTECROWDの出資範囲を超えなければ投資家のダメージはゼロです。
また必然的に運営会社側は損失を出さず利益を得るため、ファンドを成功に導く強制力が働く点もポイントですね。
為替ヘッジもあり
海外不動産への投資で多くの人が心配するのが為替リスクだと思います。
僕もその点が非常に気になったので1号ファンドの「リスク」の説明を確認してみました。
本物件は売主との売買は円建て決済、賃料もIP社(管理者会社)との一括借り上げ契約は円建てで行っており、投資家様の方が負担する為替リスクは軽減されています。なお、IP社は(略)、当該金融機関において為替ヘッジを行っています。

全ての為替ヘッジと明記はありませんが、一部ヘッジがあるようです。ただし2号案件以降も同じとは限らないため都度確認は必要ですね。
高い利回り(分配率)
TECROWDでは6.5%程度の利回り(分配率)が期待できるようです。

TECROWDで募集されるファンドの例
一部、国内でも8%前後の利回りが期待できるサービスもありますが、多くの場合は3~5%前後となっています。
このため、6.5%(1号ファンドはリリース記念で+1.5%)の高利回りが魅力的に感じる方も多いのではないかと思います。
ただし高利回りには相応のリスクも付いて回るため、無理のない範囲での投資に抑えておくことをお勧めします。
運用中の資金の上下が無い
TECROWDで運用中の資金は株価のような毎日の上下はありません。

このため僕のように仕事中でも株価が気になってしまう方には合った投資だと思います。
ただし不動産の価値が劣後出資以上に下落した場合は、元本割れの可能性もある点は理解しておく必要があります。
TECROWDのデメリット
ここまではメリット面を紹介してきましたが、もちろんTECROWDでの投資にもデメリットやリスクはあります。
そこで実際に私が感じているデメリット・リスクを4つほどご紹介します。
- 元本保証はない
- 為替ヘッジゆえのリスク
- 利益は総合課税の対象
- 運営会社の倒産リスク
元本保証はない
これは全ての投資に言えることですが元本保証はありません。

そもそも出資法により元本を保証して資金を集める行為は禁止されています。
もちろんTECROWDでは劣後出資によるヘッジ(1号案件では約11%)があり元本割れの可能性はそこまで高くは無いと考えています。
ただ、天災や火災で被害が出てしまった場合などは劣後出資でもカバーしきれない可能性も考えています。
そういったリスクや定期預金の利回りの低さなど天秤にかけ、リスクの方が心配な方には向かない投資だと思います。
為替ヘッジゆえのリスクも
為替ヘッジ付きのファンドではその時々の為替状況によって元本や配当金が変動する可能性は低くなります。
ただし逆に発生するリスクもありそうです。

為替ヘッジゆえのリスク
例えば1号ファンドではTECRAの先の借上業者が現地通貨を日本円に換金して支払いを行っています。
このため急激な円高が進んだ場合はこの借上業者の負担が増え、賃料の支払いが遅延するリスクも考えられそうですね。

為替ヘッジを万能と考えず、想定外のリスクもあることを念頭に置いておく必要があります。
利益は総合課税の対象
定期預金や株式投資の利益は本業の所得とは別に一律の税率が課せられます。
これに対して不動産投資型クラウドファンディングの利益は本業の所得と合算して総合課税の対象となります。
またこの時、合計金額が高くなるほど多く課税される累進課税の対象となるため元の稼ぎが大きい方は注意が必要です。

例えば695万円を超えた部分には所得税だけで20%以上の税率が課されます。
また給与所得や退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合は確定申告が必要になります。
TECROWD
運営会社の倒産リスク
運営会社が倒産した場合、投資中のお金が戻らない可能性があります。

戻るとしても、想定より非常に時間が掛かることは覚悟しておいて下さい。
もちろん運用実績のあるサービスなので、その可能性は決して高くはないと考えています。
ただこういったリスクを軽減するため、出来れば次の2点を心がけておいて下さい。
- 余裕資金内での投資とすること
- 他サービスと分散しておくこと
TECROWDのその他の特徴
ここからはメリット・デメリット以外の特徴をご紹介していきます。
各種手数料について
TECROWDでの各種手数料は基本無料です。
- 口座開設利用料 0円
- ファンド申込手数料 0円
- ファンド運用手数料 0円
- 出金手数料 0円
ただし投資家口座からTECROWD口座への入金に関する手数料は必要となります。
入金手数料
各銀行側で発生する手数料のため、TECROWD口座と同行か、振込手数料の安いネット銀行の利用で軽減が可能です。
数字で見るTECROWD
ここではTECROWDの運用実績などをご紹介します。
TECROWDの最新の運用実績
こちらはサービス全体の実績です。
件数 | 合計金額 | |
---|---|---|
募集済み | 1件 | 2,850万円 |
運用終了 | 0件 | 0円 |
元本割れ | 0件 | 0円 |
割れ率 | 0% |

2021年3月現在、1号ファンドが予約申込で即日完売しましたが運用開始は5月以降の予定となっています。
TECROWDの総合評価
評価不能
初の海外不動産向け不動産型CFサービスのため非常に面白いサービスだと思います。
ただ現時点では(TECRA社自体はともかく)サービスとしての運用実績が無いため点数を付けての評価を行うことは控えたいと思います。

サービス初期は運営会社が利回りも確度も高い運用先を用意する可能性が高そうなので、現時点では利回り>安全性の方向けのサービスだと評価します。
おまけ 運営会社の状況
TECROWDの運営会社TECRA株式会社の状況も調査してみました。
TECRA社はTECROWDでは新興国不動産を扱うようですが実は神奈川、東京、大阪などでも不動産開発事業を行っている会社です。
代表者 | 今井 豊和(代表取締役社長) |
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上場市場 | 未上場 |
設立日 | 2001年5月 |
資本金 | 1億5,660万円 |
また未上場企業のため株価の状況などは不明ですが、直近の決算状況も調査しています。
最近(2021年3月)の決算状況
純利益 | 297万7000円 (▲97.42%) |
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利益剰余金 | 7956万5000円 (▲26.31%) |
総資産 | 18億7281万1000円 (▲22.05%) |
コロナ影響のためか各数値が前期比で大幅にマイナスになっています。
その中で総資産額が2017年10月に約6億、2018年に約10.5億、2019年に約24億、そして今回は約18.7億となっているのは事業の成長が見られる点ですね。
今期は前期比で22.05%減少はしていますが、この点は世界中の多数の企業が似たような状況ではないかとも思います。