クラウドクレジットが26日から新規に募集を開始した「カメルーン農業支援ファンド1号」ですが、同時期に募集されている同じくカメルーンの「カメルーン中小企業支援プロジェクト18号」と利回りに大きな差がありましたので、その理由を理解するため両ファンドについての違いを比較してみました。
農業支援ファンド1号 | 中小企業支援プロジェクト18号 | |
---|---|---|
当初販売金額 | 1,000万円 | |
期待利回り | 9.4% | 12.4% |
投資倍率 | 1.096倍 | 1.128倍 |
分配日 | 2018年12月上旬 | |
返済方法 | 満期一括返済 | |
販売手数料 | 0円 | |
運用手数料 | 当初出資額の2.0% | |
最低投資金額 | 10,000円 ( 追加単位: 10,000 円 ) | |
通貨 | ユーロ建て | |
リスク低減の仕組み | 実物資産の裏打ちあり | |
営業者 | クラウドクレジット・ファンディング合同会社 | |
募集・私募取扱業者 | クラウドクレジット株式会社 | |
募集期間 | 2017年10月26日~2017年11月10日 | |
運用期間 | 原則2018年11月末まで | |
グループ会社貸付利率 | 11.70% | 14.90% |
こうして比較してみると利回り面では中小企業支援プロジェクト18号の方が有利となっていますがその分、グループ会社(クラウドクレジット・ファンディング合同会社)への貸付利回りが農業支援ファンド1号の方が低くなっており、貸付利率によるリスクの面では農業支援ファンド1号の方が低くなっていることが分かります。
また貸付利率が低くなっている理由はファンドの商品紹介のページによると、次の文章から読み取れそうです。
その取引先には穀物メジャーの一角を占めるCargill社やシンガポールの穀物商社大手であるOlam International社などが含まれ、2016年の年商は120億円以上となっております。D社は農村部における倉庫設営などを通して、自社の仕入管理効率化とともに農村部における雇用の創造にも力を入れており、これまでのカメルーン中小企業支援プロジェクトの対象資金需要者よりも高い信用力を有している大口資金需要者です。
つまり利回りを他の中小企業支援プロジェクトの対象資金需要者よりも低くしてでも貸し付けたい相手(≒リスクの低い会社)と判断した、ということなのでしょうね。
とは言えこちらのファンドに投資する際にも他のファンドと同様に相応のリスクを伴います。
- 貸付先や仲介会社の倒産
- 担保とする実物資産の価値の変動や盗難等による逸失、売却に要する期間
- 為替リスク(ユーロ)
ファンドに投資を行う際は、これらのリスクを理解、受け入れた上で行うようにしましょう。
またクラウドクレジットの掲げている「発展途上国の貧困削減プロジェクトで 地元想いのカカオ豆事業者を応援!」というテーマに共鳴してリスクの許容範囲を少しばかり広げてみるのも良いかもしれませんね。
コメント
農業は天候に作付けが左右されるので事業系よりも不安があるんですよね…
ご指摘ありがとうございます。
農業ではない方の中小企業の安定性が分からないためリスクの単純比較はできませんが確かに仰るような不安もありますね。
このため折角なのでここ数年のカメルーンのカカオ生産量の推移について調べてみました。
http://www.chocolate-cocoa.com/statistics/cacao/product_w.html
2011-2012年 206,500トン
2012-2013年 225,000トン
2013-2014年 211,000トン
2014-2015年 232,300トン
2015-2016年 220,000トン
この数字からは少なくともここ5年間についてはカカオの生産は安定的に行われているように見えますね。
また今回の投資先の会社は単一の農家ではなく「国内の多くのカカオ農家と独占売買契約を締結した卸売業者」とのことですので、良い方に考えれば一部の地域が不作となっても他の地域でカバーすることもできると考えることも出来るかもしれません。