成長期待国への融資プラットフォーム「クラウドクレジット」で本日(2018年5月14日)から初のメキシコ投資ファンドの「メキシコ女性起業家支援ファンド」の募集が開始されます。
メキシコと聞いて思い浮かべるのはテキーラやタコス、ソンブレロ(帽子)にポンチョのおじさん、死者の日、アステカ文明といった文化面のほか、マフィアや麻薬、殺人事件といった犯罪面のイメージでしょうか。
ただ考えてみるとメキシコの経済面のイメージがあまり無いことに気付きましたので、投資対象としてどのように判断すべきなのか、その状況について調べてみました。
「メキシコ女性起業家支援ファンド1号」の基本条件
1号ファンド | |
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募集金額 | 1,000万円 |
期待利回り | 7.30% |
最低投資金額 | 1万円 |
運用期間 | 約25ヶ月(2018 年6月~2020年6月) |
担保 | 不明 |
保証 | 不明 |
返済方法 | 元本一括返済 |
運用通貨 | メキシコペソ |
メキシコの経済状況は?
メキシコの経済状況を知る上で下記のレポートが参考になりそうでしたので、内容を簡単に要約してみました。
参考:メキシコ経済の現状と今後の展望~ トランプ・ショックと2018年大統領選挙でメキシコ経済はどうなる? ~ (三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
- 対米輸出の拡大により近年は中南米主要国の中において、マクロ経済面では最も安定感があった。
- ただし米国のトランプ大統領就任により先行きに不透明感も漂っている。
- ITバブルの崩壊やリーマンショックの影響もあったがこれを乗り越え、個人消費は堅調な状況。
- 次期大統領選が2018年7月に予定されており、メキシコでは大統領の再選は出来ないため交代となる。
- また野党左派候補の支持が伸びており政権交代となった場合、大幅な資本流出発生やペソ安進行の可能性がある。
- そのメキシコ通貨ペソの状況は2014年から下落してきたが2017年2月の中銀の対策により持ち直している状況。
- 近年、恒常的な経常赤字に陥っているが外国投資家による国債購入拡大を背景とした資本流入により国際収支面のリスクは限定的。
本ファンドの貸付先はどこなのか?
クラウドクレジットの説明によると、「メキシコ女性起業家支援ファンド1号」の貸付先は次のように説明されています。
「死者の日」で有名なメキシコ南部のオアハカ州を中心に、計30拠点で活動をしています。K社は、伝統的な銀行からの融資を受けにくい傾向にあるといわれるメキシコ女性のエンパワーメントを目指しており、零細企業や農業を営む女性起業家への貸付に注力しております。
K社の顧客数は2018年3月現在で3万人弱に達するなど、業容拡大を行う一方で貸出先の選定厳格化による不良債権の抑制にも取り組んでおり、不良債権比率は2017年12月期1.5%に抑えております。加えて、債権回収マニュアルが延滞日数に応じて細かく規定されており、延滞債権の回収率は97%超を達成しております。また、マイクロファイナンス機関の格付会社MicroRateから、財務内容の健全性および収益性の確保について高い評価を受けております。
今後K社は、新組織体制のもと金融機関としての実績を積み上げるとともに、収益性と社会的インパクトの両立に取り組んでいく意向です。
またメキシコでマイクロファイナンス関連事業を行っている(らしき)企業を引用内にもある各付会社MicroRateで探してみました。
企業名 | 中心地 | 拠点数 |
---|---|---|
Maskapital | オアハカ州 | 46拠点 |
Financiera Súmate ※接続不可 | プエブラ州 | 40拠点 |
Te Creemos ※接続不可 | 不明 | 不明 |
Alsol Contigo | チアパス州 | 不明(1拠点?) |
Podemos Progresar | メキシコ州 | 7拠点 |
Sofipa | オアハカ州 | 30拠点 |
残念ながらTe Creemosについてはサイトに接続できず詳細を確認できませんでしたが、この中ではSofipaが中心地、拠点数ともに一致しているため、本ファンドの貸付先はこちらの可能性が高そうですね。
貸付先企業の状況
クラウドクレジットの説明の中で不良債権比率は2017年12月期1.5%
という点が着目しました。
と言うのはこの1.5%という数字を評価する指標がそもそも自分の中に無かったためです。
このため、日本の状況ではありますが中小企業庁の「金融機関の預貸率と不良債権比率の推移」のレポートからこの数値の比較となる値を探してみました。
最終年が2014年と若干古いデータではありますが、不良債権比率の最も良好な都市銀行でも1.2%、地方銀行で2.3%となっていますので1.5%という比率は大きな問題の無い値と理解できそうですね。
ただしK社がクラウドクレジットに割り当てる貸付先が綺麗にこの比率にあった割合になるとは限らない(リスクの高い物を回される)可能性も無いとは言えませんのであくまでも参考までに。
まとめ
本ファンドの投資先であるメキシコの経済状況は比較的安定しており、また貸付先のK社も不良債権比率1.5%という良好な状況にあり投資先として不適格ではなさそうに感じました。
ただし2018年7月の大統領選の結果次第でペソ安が進行する可能性もあるとのことですので(もちろん逆の結果もあり得る)、リスクを避けたい方は選挙後の為替状況の確認を待ってからの投資判断をお勧めします。
もちろん大統領選の後にも同じくメキシコを投資先としたファンドの募集が行われるかは明示されていませんので、投資先の分散に力を入れている方は投資を検討してみても良いかもしれません。
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