東証上場企業のロードスターキャピタル株式会社が運営する、東京23区を主要投資エリアとしている不動産特化型のサービス「OwnersBook」(オーナーズブック)で2018年8月30日18時から「新宿区新築レジデンス第1号ファンド第1回」の募集が予定されています。
今回のこちらのファンドは、以前OwnersBookで募集されていてた「新宿区レジデンス用地第1号ファンド」の用地の上に建設されたレジデンスを元にリファイナンスされた物となっており、少し面白く思いましたのでいつもより深く掘り下げてみました。
ファンドの基本的な情報
ファンド名 | 新宿区新築レジデンス第1号ファンド第1回 |
---|---|
運用利回り | 4.50%(年利換算) |
運用期間 | 約2年2ヵ月 (2018年9月10日~2020年10月20日) |
募集予定 | 2018年8月30日18時~ |
担保/保証 | 担保付 |
募集金額 | 2億0,010万円 |
必要資金 | 1万円~ |
返済方法 | 一括返済 |
運用利回りの評価
本ファンドの運用利回りは4.50%(年利換算)とソーシャルレンディング投資ファンドの中では決して高くはない水準で設定されています。
ただ定期預金金利などに比べて非常に高い利回りのため、ソーシャルレンディング初心者の方にはリスクの高い商品に見えるかもしれません。ただソーシャルレンディング投資では10%を超える金利の商品も存在していますので、お試しで始めてみるのにほど良い利回りではないでしょうか。
担保/保証の評価
本ファンドは担保によりリスク軽減が図られているため、その内容と利回りのバランスから総合的に安全そうだと判断できれば、実際に投資申込をしてみるのも良いかと思います。
ちなみに担保が付いているからといって必ず元本が保証されるという訳ではなく、募集総額に対してどの程度の評価額の担保が設定されているか、また運用期間中にその価値がどの程度下落する可能性があるかを想定して投資判断を行うことが大切です。
担保は募集総額と評価額とのバランス、運用期間中の価値の変動の想定が重要です。
運用期間の評価
本ファンドの運用期間は少し長めに設定されており途中解約も出来ないため、手元資金に余裕のない場合は慎重に判断してから申し込むことをお勧めします。
ちなみに運用期間が長いファンドであるほど運用期間前後の利回計算対象期間(貸付、返済の準備期間など)の影響により実質利回り低下の影響を受けにくくなりますので、あとは他のリスクを許容できれば積極的に投資の検討をしてみるのも良いかと思います。
ファンド内容の分析
本ファンドは次の2つの貸付先で構成されています。
貸付先1 | 貸付先2 | |
---|---|---|
貸付金額 | 2億円(99.9%) | 10万円(0.0%) |
物件の所在地 | 東京都新宿区西落合 | 東京都文京区本郷 |
この通り本ファンドは貸付先1が貸付金額の大部分を締めているため、以下では貸付先1についてのみ分析するものとします。
また貸付先1への貸付金額2億円のうち、8,000万円分は「新宿区レジデンス用地第1号ファンド第1回」にの貸付額に対するリファイナンス(元本返済債務と相殺による貸し替え)とのことです。
なお下記では分析材料としてまず最初にOwnersBookが提示している物件リスク分析の情報および財務構造(担保の評価額と募集総額の構造)の妥当性について確認します。
物件リスク分析
評価項目 | 内容 | リスク |
---|---|---|
ロケーション | 東京都新宿区西落合 |
|
稼働率単位:% | 0% |
|
スポンサー クレジット | 設立3年超の総合不動産会社 |
|
ロケーション
物件の所在する西落合はリスク小と評価されていますが、利用しやすい駅が2駅あり1つは「都営大江戸線落合南長崎駅」、もう1つは「西武新宿線新井薬師前」となっており、いずれもJR新宿駅から20分程度でアクセス可能な地域のため通勤しやすく住みやすそうな地域のようですね。
また念のためこの評価に大きな問題が無いかを地価公示・地価調査のサイトで確認したところ、ここ数年、周辺の地価は上昇を続けていることが確認できます。
稼働率単位
稼働率単位は2018年8月下旬に竣工したばかりで募集開始前のためリスク大と評価されていますが、新築物件のためそこまで時間を掛けずに入居者が増えることが期待されます。
また建築前の「新宿区レジデンス用地第1号ファンド」の頃はそもそも「レジデンス用地のため分析対象外」でしたので、用地からきちんと建築されたことを考えると状況はむしろ良くなっているかもしれませんね。
スポンサークレジット
こちらは設立3年超の総合不動産会社のためリスク中となっていますが「過去3年にわたって経常利益を安定して計上」しているため、そこまで気にする必要は無いかもしれません。
財務構造
評価額
2億6,000万円
2億円
(76.9%)
物件の財務構造から本物件の担保余力は23.1%となっていることが確認できます。
つまり本ファンドの運用期間中(約2年2か月)に貸付金の返済が行われず担保物件の売却を行うことになった場合、売却金額がこの23.1%分を下回ると元本を棄損することになります。
前提としてOwnersBookの評価額が正しいこと、また売却時に発生する諸経費などは想定外としているためあくまでも目安の数字となります。
ただ先の地価公示・地価調査のサイトの通り、本物件周辺地域の地価は上昇傾向にあり、担保余力も20%以上ありますので、そこまで心配する必要は無さそうです。
投資対象の物件
今回のファンドの情報を元にそれらしい物件を探してみたところ、次の物件が本ファンドの対象物件の複数の条件にあてはまっているようでした。
- 5階建て
- 2018年8月竣工
- 21㎡~23㎡台のワンルームタイプ9戸(募集中は5戸)
- 29㎡台の1DK 3戸(募集中は2戸)
- 平均坪単価は14,000円程度(より少し安い?)
もちろんこちらの物件かどうか確かめる術はありませんが、投資対象の物件をイメージするのに役に立つのではないでしょうか。
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