昨日、上場企業運営の不動産特化型サービス「OwnersBook」(オーナーズブック)から新商品の海外型案件第1号「US非上場eREIT第1号ファンド匿名組合出資持分案件」の募集が先着順方式で開始されました。
こちらのファンドについては事前に公開されていた情報から利回りや注意点を予想していたのですが、色々と想定外な内容となっていました・・・。
このため事前公開情報や予想内容と、実際の情報を比較しながらファンドの内容についてご紹介したいと思います。
ファンドの基本的な情報
ファンド名 | US非上場eREIT第1号ファンド |
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運用利回り | 6%前後(事前予想)→4.51%(IRR:4.57%)(年利換算) |
運用期間 | 5年(事前公開情報)→約5年2ヶ月 |
募集金額 | 4億9,750万円 |
必要資金 | 50万円~450万円(1口50万円) |
申込方式 | 先着式 |
米国における運用会社 | Fundrise Advisors, LLC(以下「Fundrise社) |
日本におけるAM(*)会社 | ロードスターキャピタル(以下「LC社」) |
クーリングオフ期間 | 申込日から起算して8日を経過するまでの間(申込日を含む) |
投資スケジュール
- 募集開始日2019.10.07
- 募集終了日2019.10.16
- 運用開始日未公開↑約5年2ヵ月↓
- 運用終了日未公開
予想利回りについて
事前に利回りを6%前後と予想していましたが、実際は4.51%(IRR:4.57%)となりました。
ファンド投資先の米国Fundrise社の商品「Income eREIT」の分配率が7.5%、ここから各種手数料が引かれてもOwnersBookの既存案件の利回りよりは高くなるだろうと予想していたのですが・・・。
予想を下回った理由
予想を下回った大きな理由は、米国内で徴収される源泉所得税の30%にあるようです。
今回のファンドではIncode eREITの利益からまず米国内で30%が課税(控除対象外)され5.25%、さらにOwnersBook(のSPC)が手数料を徴収してこの利回りとなるようです。
ちなみにこの利回りはさらに日本国内で雑所得として課税されます。
出金手数料も自動徴収
また本ファンドの分配金はOwnersBookの口座ではなく投資家の銀行口座に自動的に振り込まれ、その際に振込手数料も自動徴収される点も事前に理解しておく必要があります。
元本価値の変動について
事前予想の通り、やはり元本価値が変動するようです。
本匿名組合契約は、お客様の出資金について元本保証するものではなく、FR1社が取得する本LLC持分の価値、FR1社、本LLC、本ファンドマネージャー及び本スポンサーの信用状況等により損失が生じるおそれがあります。
逆に価値が上昇する可能性もありそうですが、明記されている箇所は見つけられませんでした。
為替リスクについて
為替リスクを受けます(つまり日本円での受取額が上昇する可能性もあります)。
本LLCへの投資は、米国デラウェア州法に基づき設立された有限責任会社(LLC)が発行する米ドル建てのCommon Shares(持分)への投資であり、為替変動によるリスク及びカントリーリスクを伴います。
途中解約の可否について
特殊な状況を除いて出来ません。
本匿名組合契約の中途解約は、本匿名組合契約又は商法に規定されている場合を除き認められておりませんが、本匿名組合契約がお客様の債務不履行又はお客様に発生した契約終了事由(お客様が破産手続開始の決定を受けたこと等)により終了した場合、FR1社はその裁量において、本匿名組合契約の終了に伴う事務手数料を、お客様から申し受ける可能性があります。
運用期間の延長について
こちらは事前に予想出来ていませんでしたが、運用期間が延長される可能性があるようです。
5年2ヶ月間(但し、為替市況等により延長する場合があります。)
具体的な状況は明記されていませんが、恐らく為替状況が悪化して日本円に換価すると投資家に大きな損害を与えるような状況だと思われます。
まとめ
- 利回りは他のファンドとあまり変わらず運用期間長め、最低投資額も50万円以上と高め
- 為替リスクあり、元本変動ありと通常のOwnersBookの商品とは趣を異にしています
本ファンドは提供する海外案件1号として期待していましたが、OwnersBookの多くの投資家にはマッチしない商品のような気がします。運用期間が1年程度、最低投資額も1口10万円程度であればお試し程度に申し込む方も多いとは思いますが・・・。
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